夏休みも終盤となりましたね。
そういえばちょうど1か月前頃の夏休みに入る直前に、子供にこんなことを聞かれました。
「ママ、税金って何に使われてるの?」
税金についての作文を書く宿題が出ているというのです。
その後、一向に書いている気配はないのですがね(笑)
あなたは子供にこのような質問をされたときにサラッと答えられますか?
ぼんやりとしたイメージは分かっていても、いざ子供に分かりやすく伝えようと思うと意外と難しいなと思うのではないでしょうか?
例えば、今年2024年から「森林環境税」という税金が住民税と合わせて引かれるようになったことはご存じでしょうか?
知らなかったという方もたくさんいらっしゃるでしょう。
税金は様々な種類があり、長い年月をかけて色々な形に変化し、活用方法も変わっていくものです。
たくさんの税金が引かれていることは実感として知っていても、具体的なことは分からない方が多いのも当然でしょう。
しかし、せっかく多くの税金を納めているのですから、それが何に使われているのか知りたいですよね。
子供に聞かれたらスマートに答えられるように、今日は税金が何に使われているのか一緒に勉強していきましょう!
税金とは
そもそも税金とは何なのか、基本的なことから確認していきましょう。
財務省のホームページにはこのように書かれています。
税金とは、年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。
みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要です。
改めて文字にして読むと、確かにその通りだと納得できますよね。
しかし、テレビやSNSなどから流れてくるニュースを見ていると、税金が広く公平に分かち合われているのか疑問を持ってしまうのは私だけではないでしょう。
このように定義されている税金の意味が、理想ではなく現実のものとなるために、私たち一人一人が税金についてもっと理解を深め、しっかりと監視していくことが大切です。
そのためにも、子供たちにも分かりやすく伝えられるよう、まずは私たち大人がしっかりと税金について正しく理解する必要があるといえますね。
どんな種類の税金があるのか
税金はまず大きく2つに分けることができます。「国税」と「地方税」です。
そして上の図にあるように、国税は24種類、地方税は23種類。合計で現在47種類もあるんです!
これだけあると、知らないことがあって当然ですよね。
ちなみに国税と地方税の違いは、誰が課税しているかということです。
国税なら国が課税していますし、地方税なら各地方自治体が課税しています。
また、税金はその種類ごとに収める方法や税額を決める方法などが違います。
納税の方法
税金の納付形態は以下のように2つに分類されます。
【直接税】
税金を負担する人が直接納付する。
所得税、法人税、相続税、住民税、贈与税、固定資産税など
【間接税】
納税者と税金を負担するものが異なるもの。
消費税、印紙税、登録免許税など
具体的にイメージするために、間接税である消費税を取り上げてみましょう。
私たちスーパーで買い物をするとき消費税を払いますね。
消費税は国税ですから国に納めなければいけません。
しかし実際にはレジの人にお金を支払うだけで、国に納めている感覚は全くありませんよね。
消費税はスーパーが私たち消費者から一旦預かって、まとめて国に支払ってくれているのです。
このように、スーパーが私たちに代わって間接的に税金を納めてくれているので、間接税というのですね。
一方、直接税の所得税はどうでしょうか?
サラリーマンの方にとっては、
「会社が代わって払っているから間接税じゃないの?」
と思うかもしれませんね。
しかし住宅ローンを組んだことがある方なら、1度は確定申告を行ったことがありますよね。
もしくは、医療費控除やふるさと納税のために確定申告をしたことがある人もいるかもしれませんね。
自営業の方と同じように、本来ならサラリーマンも同じように自分で申告をして所得税を支払うものなので、直接税なのです。
でも、確定申告って結構大変ですよね。
住宅ローン控除や医療費控除はお金が返ってくるから大変でも確定申告をしますよね。
でも、所得税を支払うためにそのような大変な作業を自分で行うとなると、どんなことが起こるでしょうか?
面倒くさくて納付をしない人が大勢現れるでしょう。
そんなことになったら国の財政が傾いてしまいますから、確実に納税がされるように会社が従業員から預かって代わりに納める「源泉徴収」という方法が取られているのです。
「お給料から多くの税金が引かれて実際の手取りはこれだけしかない」
と嘆く人も多いですが、源泉徴収という制度がなければ国の財政はもっと圧迫されるでしょう。
さきほど取り上げた間接税である消費税も同じです。
スーパーが間接的に国に納めてくれることで、税金の取りこぼしを防ぐことができます。
そのように工夫されている仕組みを知ると、私たちにとっては楽で効率的な方法であることが分かりますね。
納税額の決定の仕方
納税額の計算方法は、課税対象となる所得が多くなるにつれて段階的に高くなる「超過累進税率」や課税対象となる所得に関係なく同じ税率を適用する「比例税率」があります。
超過累進税率…所得税、相続税など
比例税率…法人税、消費税など
消費税はもっとも身近なものですし、食品なら8%、その他のものなら10%と税率が決まっていて非常に分かりやすいですよね。
どんな人であっても同じ金額のものを買うのに対して同じ比率の税金を支払うので、公平感を感じやすいかと思います。
一方で、超過累進課税をとっている所得税は、実は10種類にも区分されています。
実際の計算はそれぞれの区分ごとに異なり非常に複雑なのですが、最終的には所得が多ければ多いほど税金も高くなるようになっています。
所得が多い人からは多く税金を取り、所得が低い人からはあまりとらない。
これもある意味公平と言えますね。
ちなみに、所得の種類によっては非課税となるものもあります。
例えば、病院や薬局に支払う医療費は非課税です。
所得の少ない人にまで課税してしまうと、そのせいで必要な受診を控えてしまう可能性がありますよね。
このように、税金を払う力の差に対する配慮や、社会政策的な理由から所得税が非課税となっているものがあるのです。
余談ですが、先日まで行われていたオリンピックや、8/28から開催されるパラリンピックのメダリストに贈られる報奨金は、課税・非課税どちらだと思いますか?
正解は「非課税」です。
今大会でも若い選手がたくさん活躍しましたが、平成4年のバルセロナオリンピックで当時中学生だった水泳の岩崎恭子選手が金メダルを取ったことを覚えていらっしゃるでしょうか?
当時、彼女が受け取った報奨金は課税されていたのですが、あんまりだという声が上がり、非課税にする検討がされて今に至るという経緯があったそうです。
朝礼のネタにでもお使いくださいませ(笑)
それから、宝くじやサッカーくじなどの当選金も非課税なんですよ!
オリンピック選手になって金メダルをとることと、宝くじが当たること。
どちらも夢がありますね!
「う~ん!宝くじに当たってみたい!!」
税金は何につかわれているのか
いよいよここからが本題です。
上記の図は、今年の税収の予算を表したグラフです。
なんと税収だけで118兆5854億円と言われても、私たち一般人には金額が大きすぎてイメージもできませんね。
とにかくこのすごい金額のお金をどう使うかということが国会で議論されて、お金の使い道が決められるというわけです。
国会議員の皆さんへのお給料も、この税金の中から支払われるのですから、その大事な会議で寝ている議員がいたり、不祥事への追及に長い時間を取っているのは本当に腹立たしい限りです。
という私の感情は置いておいて、こちらの図をご覧ください。
こちらは、その無駄な会議の末に決定された今年の予算の使い道を示したグラフです。
歳入の方には、税収に加えて国債の発行などによって得られる収入が加えられていますね。
先程の118兆円より少なくなっているのは地方税が含まれていた関係かなと思いますが、肝心なのは歳出の方なので、今回はその辺は無視していきましょう。
最も多く使われているのは社会保障費つまり、医療費や年金、福祉、介護、生活保護などですね。
私たちの生活に密接に関わるものですから、ここに予算を最も大きく取っていることには納得ですね。
次に一般歳出にだけ注目してみると、防衛関係費、公共事業、文教及び科学振興、その他と続いていますね。
私としては
「教育にもっと予算を割いてもらえたらいいのにな」
と思ってしまいますが、みなさんはどんな感想を持たれたでしょうか?
重視する点は人によって違うでしょうね。
現状として子供に税金の使い道を伝えるとしたら、
「私たちの健康な生活を支えていくために最も多く使われていて、警察や消防の人などに国を守ってもらうためのお金や、傷んだ道路や公園を整備したり、あなたたちが勉強する教科書などに使われているんだよ」
と伝えることになるでしょう。
そして、歳入の方も合わせて考えると、
「おやつを買う時に払っている消費税は、それらのお金を払うのに最も役立っているんだよ」
と教えてあげると、自分も社会の一員だという意識が持てて良いかもしれませんね。
国民一人当たりにいくらのお金が使われているのか
さて、大まかな使い道は分かりましたが、示されている金額が大きすぎて、自分たちが払っている税金がいくらぐらい何に使われているのか正直まだ分かりにくくありませんか?
というわけで、人口一人当たりの金額に計算してみましょう。
令和6年7月の人口の概算値は1億2396万人だそうです。
ということは、一人当たりに充てられている国の予算は90万8129円となりました。
これをさらに細分化していくと、
使われるということになります。
みなさんはどんな感想を持たれたでしょうか?
私の場合は医療費をかなり税金に頼っている部分があるので、皆さんの税金に支えられているなぁと感じました。
一方で、やはりもっと子供たちに使ってほしいなぁという気持ちも増しました。
これを読んでそれぞれに感じた気持ちを、しっかりと選挙での投票という形で示していかなければいけないのでしょうね。
まとめ
- 税金とは、年金・医療などの社会保障や、水道、道路などの整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うもの
- 税金は国税、地方税合わせて全部で47種類もある
- 税金の種類によって、計算の仕方や納付の方法が異なる
- 税金の多くは医療や福祉などの社会保障費に使われており、次いで防衛費、公共事業、教育など、私たちの生活に密接な関係があるものに使われている
- 国の予算は国民一人当たり年間で約90万円使われている
先程、国民一人当たりに使われている予算を計算しましたが、支払っている税金を計算すると、一人当たり年間56万1535円となりました。
0歳の赤ちゃんまで含めて計算しているので、私たち大人が負担している税金はもっと多くなりますが、支出に対して圧倒的に足りていないのが分かりますね。
足りない分を補ってくれているのは国債などで、結局国の借金がどんどん増えていくのが現実です。
FPの視点からみると、すぐにでも改善が必要な家計と言えます。
収入を増やす(税金を増やす)か、どこかを節約して支出を減らすしかないですよね。
どちらが簡単かを家計に置き換えると、節約する方が簡単ですよね。
でも国の立場からみると、税金を増やして収入を増やす方が簡単でしょう。
だから議論が平行線になって、不満が募るばかりでいつまでたっても解決しないのです。
そう考えると、これからはお互いに歩み寄る努力が必要なのかもしれませんね。