先日、10月から社会保険の適用範囲が拡大されることについての記事を書かせていただきました。
実施まで約1か月となり、実際に
「会社から社会保険に加入するよう言われた」
というお声を聞くことも多くなってきました。
自分の手取り金額が減ってしまうわけですから、注目されている方が多いのもうなずけます。
しかし皆さんは、このほかにも10月から色々な制度改正が行われることをご存じでしょうか?
例えば「児童手当の拡充」です。
私も子育て世帯なので、児童手当が拡充されるのは大変嬉しく思っています。
しかしその裏側に隠されているマイナスポイントにも注目していなければいけません。
一体どんなマイナスポイントが隠されているのか、ご紹介します。
児童手当の拡充と扶養控除の背景
現在、児童手当は中学校卒業までの子どもを養育している世帯に支給されていますよね。
しかし令和6年10月からは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の3月31日まで)支給されることが決定されました。
支給月もこれまでは年3回だったところ、年6回に変更となりますので、2か月に1度振り込まれることになります。
また、所得制限も撤廃されますので、これまで給付を受けることができなかった世帯も対象となります。
さらに第3子以降は支給額が3万円となり、年間で36万円の給付を受けることができます。
お子さんが2人までのご家庭は1人当たり年間12万円が給付される予定です。
一見すると、子育て世帯にとって大変ありがたい制度改正ですよね。
しかし一方でこの予算を確保するために扶養控除の見直しが検討されているのです。
扶養控除とは
扶養控除は、控除対象扶養親族がいる場合に扶養者の税負担を軽減する仕組みです。
例えば、今回児童手当の拡充対象となる16~18歳の子どもがいる場合、所得税から38万円、住民税から33万円控除されています。
しかし、政府内では
「児童手当を拡充するが、予算を確保するために扶養控除を撤廃する」
ということが議論されているのです。
内閣官房が発表している資料によると、所得税の扶養控除は25万円に、住民税の扶養控除額は12万円に減額される方向で検討されているようです。
扶養控除が減額されるということは、その分払うべき税金が増えるということになりますから、実質的に損するのではないかという不安がよぎりますよね。
政府内ではどのようにシミュレーションされているのか確認してみましょう。
手取り額は増えるのか減るのか
上の図は、夫婦のどちらか1人が働いており、高校生を1人扶養している世帯を例にシミュレーションしているものです。
横軸が所得、縦軸が得られるメリットを表しています。
このグラフによると、給与所得が4000万円を超える家庭でもメリットが得られるとのことですから、ほとんどのご家庭がメリットを受けられるということになりますね。
少しご安心いただけたでしょうか?
まとめ
- 令和6年10月から児童手当が高校生がいる世帯にまで拡充される
- 児童手当の所得上限額も撤廃されるため、高所得者層も恩恵を受けることができる
- 児童手当の拡充に合わせて、扶養控除見直しが行われている
- 扶養控除額が、所得税・住民税合わせて34万円減額される見込みである
- 扶養控除額が減ると給料の手取り額は減るが、児童手当の拡充により、トータル的にはプラスとなる
現在検討されている扶養控除の改定が開始されるのは令和8年分からの予定です。
我が家も来年から次男が高校生になる予定なので、この改定の影響を受ける世帯となります。
実際にこの夏休みにいくつかの高校見学に行きましたが、どの高校でも
「タブレットを1人1台購入してください」
と案内されました。
中学校までは義務教育ですが、高校からはそうではなくなるので、これまでは貸与されていたタブレットも実費で負担となるのです。
それ以外にも高校生になると色々なものが実費となるので、急に家計の負担が重くなります。
長男が高校生になった時、その負担の重さを実感しているので、今回の改定は本当にありがたいと言わざるを得ません。
しかし、トータル的にはプラスになることが分かっていても、お給料の手取り金額は減ることになりますので、気持ち的には嘆きたくなるかもしれませんね。
そんな時にはこの記事を思い出して、
「ちゃんとプラスになっているから大丈夫」
と気を取り直してくださいね。